明治42(1909)年6月19日に青森に生まれた太宰治は昭和23(1948)年に39歳で自ら命を絶ちました。
2度結婚した上に、何人かの愛人がいて、最終的には愛人と共に入水自殺を図ってドラマチック過ぎる人生を送ったことで有名ですね。
この記事では太宰治の実際の女性関係について、そして、小栗旬主演の映画「人間失格」では太宰治の女性関係がどう描かれたか、さらに2019年11月に合成大麻使用の疑いによる沢尻エリカ逮捕が映画に与える影響についてまとめてみます。
太宰治の女性関係はどうだった?
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太宰治は2度結婚していて、さらに二人の愛人がいたと言われています。
そして、4回の自殺未遂の末、5回目の心中でこの世を去りました。
太宰治のドラマチック過ぎる人生を女性関係を中心にまとめてみます。
乳母と叔母に育てられる
太宰治の本名は島津修治です。
祖父が地主として成功して財を成し、それを引き継いだ父親・島津源右衛門は県会議員を経て衆議院議員となり政界に進出しています。
青森でも有名なお金持ちのお坊ちゃまですね。
太宰治は10番目の子供で6男でしたが、長男と次男が生まれてすぐに亡くなっているので4番目の息子となります。
母・夕子は体が弱くて病弱だったので、乳母・佐々木サヨが太宰治を育てました。
その乳母は1年ほどで結婚して島津家を去ったので、その後は同居していた叔母・きゑが太宰治を育てます。とても可愛がってくれたようですね。
しばらくすると、叔母・きゑ女中である奉公人・近村タケが島津家に入り、彼女が太宰治の子守をしました。
この近村タケが小学校への送り迎えをしたり、外で一緒に遊んでくれたりしてくれて、育ての親のような存在だったと言われています。
大地主の家に生まれ、経済的には非常に恵まれていたのですが、母親との縁が薄く、乳母や叔母、そして女中によって育てられた幼少期が、後の太宰治の人生や文学に大きな影響を与えたそうです。
大地主の子供として生まれながら、母親との縁が薄い幼年時代だったみたいですね。
最初の妻・小山初代
芸者・小山初代との出会い
太宰の兄たちは小学校で常に良い成績評価をもらっていましたが、財力に物を言わせて父親が学校に多額の寄付をしていたためで、実は優秀ではなかったんだとか。
でも、兄たちと違って太宰治は本当に実力でよい成績を得ていたそうです。
見事に合格した県立青森中学(現在の青森高等学校)でも成績はトップクラスでした。
芥川龍之介などの文学作品を読み、同人誌まで発行していたそうですが、勉強の方も手を抜かなかったみたいですね。
ところが、昭和2(1927)年に合格した弘前高等学校(現在の弘前大学)に進学してから、生活は一変して学業に精を出さなくなってしまいます。
昭和2(1927)年7月の芥川龍之介の自殺がそのきっかけだったと言われています。
18歳にして義太夫や江戸文学に興味を持ち、青森の花柳界に出入りするようになります。
そして、「玉家」という店で働いていた芸子・紅子(小山初代)に出会ってのめりこみます。
18歳で芸者にのめりこむって…すごいですね。
さらに、同人誌をとして社会主義の思想を持つ学生との交流が多くなり左翼活動も行うようになります。
成績は落ちる一方だったとか。
昭和4(1928)年、太宰治が高校3年生の時、期末テストの前夜に薬物を服用して自殺を図ります。
裕福な家の出である自分と、社会主義思想との間での葛藤や、成績低下、芸者遊びなど、様々な要因があったのかもしれません。
銀座のカフェのホステス・田辺シメ子と心中
昭和5(1930)年に太宰治は東京帝国大学の仏文科に入学します。
小山初代は芸者置屋から逃げ出して太宰の下宿先に転がり込み、同棲が始まります。
また、左翼活動を行っているという事実も実家に知れ、家名を気にしてか兄が下宿を訪れます。
政治家となっていた兄・文治にとっては太宰の左翼活動は都合が悪かったのでしょうね。
初代との結婚を許し、生活費と大学卒業までは学費は支給するが、島津家から除籍することを言い渡されます。
「勘当」ということですね。
本当に除籍されてしまった太宰治はショックを受けたようです。
昭和5(1930)年11月に絶望のあまり銀座のカフェのホステス・田部シメ子と鎌倉の海岸で薬物を服用して自殺を図ります。
そして、当時19歳だった田部シメ子だけが亡くなり、太宰治は生き残ります。
え?
同棲していた初代さんと結婚しようとしてたんじゃないの???
そう思いますよね。
そうです。
島津家と小山家が結納を交わした直後の事件だったので、結婚を目前に同棲していた小山初代はショックを受けたそうです。
また、太宰治が自殺ほう助の疑いで警察の取り調べを受けることになり、県会議員の兄・文治は辞表を提出することになってしまいます。
お兄さんにしたら、自分の政治家としての活動の邪魔ばかりする迷惑な弟だったことでしょう。
そして、兄・文治は、太宰治に、初代との結婚生活が破綻したり、退学や卒業の見込みが立たなかったり、左翼活動をした場合には、仕送りは停止するという内容の覚書を書かせました。
しかし…
左翼活動との繋がりは切れなかったようです。
そして、井伏鱒二の門下生になって文学活動に熱を入れていたので、学業は疎かになっていました。
これが実家にバレて、覚書の通り仕送りが停止される状況になってしまいます。
仕送りも停止、大学卒業も絶望的、そして新聞社の入社試験にも落ちて、太宰治は昭和10(1935)年3月15日に鎌倉八幡宮の裏山で首つり自殺を図ります。
3回目の自殺も未遂に終わりました。
薬物中毒の治療と妻・初代との離婚
その後、何とか仕送りを1年間伸ばしてもらい、東京に残っていた太宰治は、急性盲腸炎にかかり、緊急手術を受けます。
この治療の際に麻薬性の鎮痛剤が使用されたことをきっかけに、薬物を常用するようになり薬物中毒になってしまいます。
異常な行動を取ったり、借金もかさみ、生活は破綻していったそうです。
心配した妻・初代が青森の兄や井伏鱒二に相談し、28歳の時に薬物中毒の治療の為に精神病院に入院させます。
ところが、太宰が入院している間に妻・初代が太宰の義弟である小舘善四郎と不倫をしてしまいます。
小舘善四郎は太宰治の姉の夫の弟で、帝国美術大学を卒業しています。
太宰の入院中に小舘善四郎は別の病院に入院していました。
精神病院は面会ができなかったので、その代わりに妻・初代が義弟のお見舞いをしているうちに男女の仲になってしまったみたいです。
自分の入院中に不貞をした妻・初代に太宰は激怒し、1937年3月に谷川温泉に向かう山麓に初代を連れて行き、二人で薬物を服用して自殺を図ります。
この4回目の自殺も未遂となり、1937年6月に二人は離婚します。
二人目の妻・石原美知子
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初代の不倫により離婚し、酒におぼれるような暮らしをしていた太宰治に井伏鱒二が再婚相手を世話してくれます。
それが県立高校の先生をしていた石原美知子です。
1938年に二人は結婚し、太宰治の生活は徐々に回復していったようです。
石原美知子が太宰治を心身ともに支えていたみたいですね。
愛人・太田静子との間に娘誕生
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石原美知子というしっかりした奥さんをもらって、安定してきたにも関わらず…太宰治は愛人を作ります。
太宰の作品の大ファンであり、作家を志望していた太田静子です。
昭和16年に太田静子が自分が書いた日記文を太宰に送って小説の指導をお願いしたことをきっかけに出会い、密会を重ねたそうです。
昭和21(1946)年に発表し注目を浴びた「斜陽」は静子の日記をベースにして、静子の傍で書かれたと言われています。
そして、静子は妊娠し、昭和22(1947)年に太田治子という娘が誕生します。
もう一人の愛人・山崎富栄と入水自殺
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共通の知り合いを通じて知り合った美容師・山崎富栄と付き合うようになったのは「斜陽」の執筆中だったとか。
え?
「斜陽」は愛人である太田静子の元で執筆したと言われているのに、さらなる愛人がいたってことですか!
女癖の悪さにも程がありますよね~。
太平洋戦争のさなか昭和19(1944)年に出会ったということで、山崎富栄の夫はフィリピンに出征したまま行方不明状態という可哀そうな身の上でした。
山崎富栄は親兄弟も捨てて、太宰治との生活に身を投じます。
太宰は山崎富栄の貯金も使ってしまっていたという話もあります。
普通に考えるとサイテーな男ですよね。
太宰には奥さんもいるし、別の愛人である太田静子の子供を認知したという話を聞いて、山崎富栄は不安を感じていたという話もあります。
昭和23(1948)年6月23日太宰治は愛人・山崎富栄と共に玉川上水にて入水自殺を図り帰らぬ人となります。
遺体が発見されたのは6月19日、太宰治の誕生日だったそうです。
「人間失格」の最終回掲載直前に太宰治が自殺したので、遺書的な自叙伝であるという見方もあります。
愛人と心中した太宰治でしたが、実は妻・美知子に遺書を残していたそうです。
「美知様 誰よりもお前を愛していました」と書かれていたそうです。
太宰治ご本人も、太宰治を愛した女性たちも、本当に波乱万丈の人生を送ったんですね。
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」では太宰治の女性関係をどう描いているのか?
2019年映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」
この映画は、小説「人間失格」を映画化したものではなく、太宰治と3人の女性との関係を中心に描いた物語です。
登場人物は事実に基づいて設定されています。
監督:蜷川実花
太宰治役:小栗旬
島津美知子(石原美知子)役:宮沢りえ
太田静子役:沢尻エリカ
山崎富栄役:二階堂ふみ
映画は太宰治が石原美知子と結婚し、3人目の子供の誕生を控え、人気作家として活躍していた38歳の頃から39歳でこの世を去るまでの非常に濃い時間を描いています。
身重の美知子という奥さんがいるのに、太宰のファンである太田静子と愛人関係にあり、彼女の日記をもとに「斜陽」を書いてベストセラーになります。
しかし、文壇からの批判も受け、太宰自身としても「本当の傑作」を生みだしたいという思いを持っています。
そんな太宰は美容師・山崎富栄とも愛人関係となります。
結核を患い、酒と女におぼれるような生活をしている太宰治を、妻である美知子が支え、「人間失格」の執筆へと向かわせます。
「人間失格」という作品を生み出していく太宰治を取り巻く正妻・美知子、愛人・太田静子、山崎富栄という3人の女性が実はこの作品の主人公なのかもしれません。
<蜷川実花監督のコメント>
男女の人を想う気持ちって時代が変わっても変わることはなくて、今を生きる私たちと地続きだと思うんです。映画では極端なキャラクターになっていますが、誰にも思い当たるような感情を細かく作っています。見る人にとっての自分たちの物語になっていったらいいですね。
出来事や事件を並べただけではわからない、太宰治と女性たちの感情をこの映画を通して感じることができそうです。
沢尻エリカ逮捕が映画に与える影響は?
合成麻薬MDMAを所持していた疑いで2019年11月16日に沢尻エリカさんが逮捕されました。
警視の取り調べで10年以上前から薬物に手を染めていたことが明らかになったということで、さらに衝撃を与えていますね。
監督・蜷川実花さんの反応
監督の蜷川実花さんは11月17日のご自身のTwitterに三浦瑠麗さんのコメントをリツイートしました。
沢尻エリカさんを芸能界から追放すべきとの発言がTVであったとか。
今朝の日曜報道でも言った通り、私はそう思わない。
例えば蜷川実花さん監督の『人間失格』とか、素晴らしい作品がこの事件をきっかけに埋もれたりTVで放映できなくなったりすることはあってはならない。
薬物はダメといえばいい。— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) November 17, 2019
その後、映画で沢尻エリカさんが演じた太田静子を連想させる写真とともに「明日からまた頑張ろう!!」とコメントしました。
明日からまた頑張ろう! pic.twitter.com/CooXpHtlvD
— 蜷川実花 (@ninagawamika) November 17, 2019
映画への影響を心配するネットの声
沢尻エリカ〜、もう残念〜😢
『人間失格』いい映画だったのになぁ。DVD化やテレビ放送が遠のく…。二階堂ふみさん体張ってたのに。誰か捕まると映像作品葬るのやめてくれないかな。蜷川実花さんや小栗旬気の毒だわ。ほんと残念。 pic.twitter.com/VND1Tc1cGY
— ひぐりん (@aosanaosankotti) November 16, 2019