韓国の取引先に交渉に行くことになったんですけど、やっぱり手土産、準備したほうがいいですよね。
ユラ
日本らしい素敵な気遣いですよね。やはり、日本の方は大部分手土産を持参されてきますね。
でも、どんなものがいいんでしょうか?
ユラ
日本と同様、負担なくみんなで食べていただけるお菓子を準備される方が多いですよ。
そうですか。でも…何がいいかなあ?相手のこともよく知らないし…。
ユラ
基本的には、日本からわざわざ準備してきてくれたっていうだけで、どんなものでも喜ばれます。あんまり難しく考えなくても大丈夫ですよ。
ちょっと安心しました。でも、何かアドバイスしてくださいよ。
ユラ
わかりました。じゃあ、まず、お土産を渡すときに心がけることについてお話しましょうか。
はい!お願いします。
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手土産はさりげなく渡しちゃダメ!
名刺交換のときに
「あ、これ、つまらないものですが…」
と言いながら、さりげなくお土産手渡す日本の方がほとんどです。
でも、さりげなく渡すのはあまりにももったいない!!
私はいつもそう思います。
遠路はるばる日本からやってきたお土産が
そのまま韓国の給湯室に直行して、
ぞんざいに投げ出されているのをよく目にしました。
日本人である私から見たら、
気を使って選んだものだと一目でわかる銘菓であっても
韓国の方にはそれが伝わらないことが多いと感じます。
変化しつつありますが、韓国では、
スナック菓子や煎餅はもちろんですが、
クッキーやビスコッティのような焼いたものは
全部「菓子(과자:クヮジャ)」
食パンやフランスパンやあんぱんはもちろんですが、
パウンドケーキも、マドレーヌも、フィナンシェも
全部「パン(빵)」
そう呼ぶ人が多いんです。
つまり、スーパーで売っているお菓子と専門店のお菓子の違いに
あまり関心がない人が多いということです。
韓国は日本ほど地方の銘菓や特産物の文化が多様ではありません。
また、「老舗」という日本語にぴったりの韓国語の単語は見当たりません。
有名な老舗のカステラも、チェーン店のパン屋で売っているカステラも
韓国では大差なく見えてしまうというわけです。
提案書や見積もりなどのビジネス案件に比べたら
手土産なんかおまけみたいなものだから、
別に価値を見出してもらわなくても、問題ない…?
いいえ。そうではありません。
韓国では、相手のことを大切に思っているということをしっかり伝えます。
大切に思っているから、それだけ時間をたくさんかけた。
大切に思っているから、それだけお金をたくさんかけた。
大切に思っているから、それだけ労力をたくさんかけた。
これを言葉にして伝えます。
「あなたに会いたかったから、母の誕生日パーティーには行かないで、ここに来ました!!」
「あなたに会いたかったから、暗いうちに起きて4時間かけてここに来ました!」
日本人なら、ちょっと負担に感じるかもしれませんが、
相手のことを思っているということを、言葉にして伝えるのが
韓国では誠意なんです。
せっかく準備したんですから、
手土産を渡すときは、さりげなく渡しちゃダメです。
どんな思いを込めて準備したか、ちゃんと言葉にしましょう。
手土産の薀蓄もしっかり語ってください。
例)
これは名古屋で一番有名な美味しい「どら焼き」です。
全国から注文が殺到していて1ヶ月前から予約しないと買えないぐらい人気なんです。
みなさんにぜひ召し上がっていただきたくて、なんとか手に入れてきました。
実は、私も大好きなんですよ。
どうぞ、ご一緒に召し上がってみてください!!
手土産の値段やモノが問題じゃありません。
相手ために誠意を込めたプレゼントであることが重要です。
それを言葉にして伝えてこそ、相手の方もきっと喜んでくれるでしょう。
手土産を渡すベストタイミングは、最初の休憩タイム
そうは言っても、
初めて顔を合わせた相手に
名刺交換しながら、手土産の薀蓄を語るなんで
ちょっと難しいですよね。
お互いに緊張していますし、顔と名前を一致させるだけでも大変です。
大事な案件があるのにお土産なんかに気を使ってる場合じゃないかもしれません。
手土産は名刺交換と同時に…とこだわる必要はありません!
通訳で同席させていただいていて、
手土産を渡すのにいいタイミングだなと思ったのは
会議の最初の休憩タイムに入るときでした。
「一度、休憩しましょうか。」
と、韓国の方からお声がかかったところで
「そうですね。休憩しましょうか。…あ、そうだ…」
という感じで、おもむろに手土産を取り出して、
薀蓄を語りながら、手渡すんです。
会議を通して緊張もほぐれ、話しやすくなっています。
もし会議が難航してぎくしゃくした雰囲気になっていたら
手土産について語ることによって、
場が和やかになることもありました。
たかが手土産、されど手土産…。
いいタイミングでしっかり誠意を伝えてください。
なるほど。
言葉にしてしっかり伝えてこそ、喜んでもらえるんですね。
参考になりました。
ユラ
はい。「つまらないものですが…」は「禁句」ですよ。
ハハハ。わかりました
でも、何を選んだらいいか、やっぱり悩みますよ…。
金額も、物も問題じゃないとはいうものの…。何かヒントもらえませんか?
ユラ
じゃあ、今まで通訳で同席して、韓国の方には価値が伝わりにくいと思ったお土産をご紹介しましょうか?個人差あると思いますけど。
あ、それ、知りたいです。教えてください。
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韓国の方に評判がよくなかったお土産
緑茶(ティーバッグになっていないもの)
銘茶の飲み比べができるお茶のお土産でした。
韓国でも茶道があって、お茶に関心がある方はいますが
急須を使ってお茶を楽しむのは、日本のように日常化していません。
結局、飲まれずに終わってしまうことが多いです。
ティーバッグになっていて、会社でも手軽に飲めるタイプの方がいいでしょう。
しょっぱい系のおかき
韓国でも日本の醤油味や塩味のおせんべいがスーパーで売られてはいます。
でも、まだまだ韓国人はしょっぱいお菓子は食べ慣れていないというのが実情です。
韓国の会社ではコーヒーを飲む人が多いので
しょっぱいおせんべいにはなかなか手が伸びないみたいです。
日本らしいお土産なのですが
意外と保守的な韓国の方のお口には合わないことが多いと感じました。
高級えびせんべい
韓国にもエビ味のスナック菓子があります。
日本の高級えびせんべいは
干しエビがしっかり見えているし、
エビの香ばしさがそのまま感じられると言っても、
安いスナック菓子との違いが、
韓国の方にはほとんど伝わらないみたいです。
「会社では食べる人いないから、通訳さん持って帰ってください」
そう言われて、(ありがたく)いただいて家に持って帰ったことありますよ。
高級羊羹(切り分けるタイプ)
羊羹の高級感や味わいは、韓国の方にはなかなか伝わりにくいと思います。
韓国人が羊羹といって思い浮かべであろうものは
韓国のスーパーに昔から売られている「練羊羹」という名前の庶民的な羊羹です。
一本60グラム弱で500~700ウォン(70円前後)ぐらいです。
封を切って、パクパクかぶりつく手軽なおやつです。
これ以外に思いつかないのではないかと思います。
羊羹を切り分けて、お皿にちゃんと盛り付けて
お茶と一緒に、少しずつ味わっていただくなんて、
発想が難しいんだと思います。
どうやって食べたらいいかわからない…という感じでしょう。
一食分ずつ小分けになっているタイプのものなら
韓国人にも食べやすいので喜ばれると思います。
ラスク
韓国でも若い方の中には「ラスク」が浸透しつつありますが
年配の方々には「ラスク」はあまり知られていません。
「干乾びたフランスパン?」という印象なのだと思います。
しかも、とても軽いので駄菓子みたいに思われるようです。
日本の方にいただいたラスクを無造作に口に放り込み、
「ん?これ、何だ?パン?」なんて言いながら、
味わうこともなくむしゃむしゃ食べちゃう韓国の方に
「それ、日本で有名なお店のラスクなんですよ~!!」と
思わず説明したこともあります。
「ラスク」をさしあげるときは、その魅力を語る必要がありそうです。
ユラ
韓国の訪問先への心遣いをしっかり「伝える」ために
手土産選びや、渡し方の参考にしていただけたら嬉しいです。